2018-12-09から1日間の記事一覧

覚書002

今まで、何度も何度も、座席が開け閉めされてきたのだ。この席に座った人間たちが皆、もしも今、俺の膝の上に乗るとしたら、天まで届きそうなのだ。そうして、その人たちの聴いた音楽が全て鳴り出したら、それはきっと、色が重なると黒になるのと同じように…

覚書001

編集者の読みには、著者と読者の顔が見え、肉声が聞こえていなければなりません。それに対して校正者の読みは、つきつめていえば、生身の人間のいっさい介在しない世界です。(…)素読みでゲラの言葉と私とのあいだに一対一の信頼関係が生まれたとき、不思議な…